子供が大学、教育費を捻出する40代50代の親の役割

B!

私は現在52歳で3人の子供がいます。

2人は大学生、1人は来年度に高校生です。

こうなってくると家計に占める教育費の割合がぐんと上がります。

奨学金制度などもありますが、できれば子供に借金を背負わせるのは避けたいです。

とはいえ、背に腹は代えられないという事情のご家庭も多いと聞きます。

親としてどうしていくのが良いのかそれぞれの家庭事情により違うと思いますが、いろいろな面から見ていきたいと思います。

大学で必要な費用

我が子は1人が地方の国立大学に行っており、学費が年間約65万円、学生マンションが月々約7万円ということで、生活費と合わせて月々約14万円を仕送りしています。

もう一人の方は地元の私立大学で自宅通学ですが、授業料が年間約130万円かかります。

また留学したいとも言っていますので、その費用も考えるとこちらも月々約15万円程度預けてそこからやりくりしてもらうことにしています。

2人で毎月30万円近くかかります。

本人たちの遊ぶお金はアルバイトでまかなってもらっています。

それぞれ月3~5万円のアルバイト収入があるようです。

これらは我が家の話なので、一般的なところを調べてみました。

入学費用

入学費用とは、受験費用(受験したすべての学校・学部にかかるもの)、学校納付金(入学金、寄付金、学校債など、入学時に学校に支払った費用)、入学しなかった学校への納付金など

高校 高専・専修・各種学校 短大 大学
36.5万円 50.4万円 60.4万円 89.7万円

大学の中でも下記に分けてみると

私立大学 文系 私立大学 理系 国公立大学
95.1万円 94.2万円 77.0万円

在学費用(子供一人当たりの1年間)

在学費用とは授業料、通学費(通学定期代、通学用の自動車の燃料費や維持費など)、その他の学校教育費(教科書・教材費、学用品の購入費、施設設備費など)、補習教育費(学習塾・家庭教師の月謝、通信教育費、参考書・問題集の購入費など)、おけいこごとにかかる費用を含む

高校 高専・専修・各種学校 短大 大学
69.9万円 130.6万円 158.3万円 157.3万円

大学の中でも下記に分けてみると

私立大学 文系 私立大学 理系 国公立大学
152.1万円 192.2万円 115.0万円

日本政策金融公庫 教育費負担の実態調査結果(2020年10月30日発表)より

どうでしょう、もう大学生をお持ちの方は「そうそう!」という感じではないでしょうか。

これからという方には「そんなに!」と思われると思います。

 

受験費用費用では、知り合いのところなどは大学受験に5校も受けるお子さんがおられました。

受験料と受けに行く費用(交通費、宿泊費など)だけで軽く50万円以上かかっています。

受かればとりあえず押さえで納付金も支払いが必要になります。

 

地方へ住まいなら引っ越し費用等も上記の表には載っていませんがかかります。

学生の引っ越しとあなどるなかれ、敷金・礼金、下見に行く交通費、実際の引っ越し、家具家電など含めると30万円~100万円かかります。

教育費の捻出方法

皆さんこれだけの費用をどのようにねん出しているのか。

気になるところも日本政策金融公庫 教育費負担の実態調査結果(2020年10月30日発表)に掲載されていました。

それによると何らかの対応をしている世帯の内容は「教育費以外の支出を削っている(節約)」が29.5%(前年調査32.7%)と最も多く、以下「子供(在学者本人)がアルバイトをしている」(21.5%(同22.9%))、「預貯金や保険などを取り崩している」(20.4%(同23.5%))、「奨学金を受けている」(18.6%(同17.6%))と続きます。

節約している支出では、「外食費」が62.5%(前年調査62.6%)と最も多く、以下「旅行・レジャー費」(62.3%(同60.3%))、「衣類の購入費」(41.6%(同41.1%))、「食費(外食費を除く)」(34.6%(同35.7%))と続きました。

日本政策金融公庫 教育費負担の実態調査結果(2020年10月30日発表)より

奨学金やその他の制度利用も考える

かなり重たい負担となる教育費ですが、親だけが負担するのではなく、様々な制度の利用も考えてみる必要があります。

特に奨学金制度にすることはたくさんあるといますが、あまり詳しくは知られていないのではないでしょうか。

下記を見たうえで、お子さんとじっくり話し合われてはいかがでしょう。

奨学金

奨学金とは、経済的な理由や家庭の事情で進学が難しい方に向けた学費の付与や貸与を行う制度です。

奨学金は、国や地方自治体、民間団体のほか、学校単位でも独自の奨学金制度を設けています。

学生の能力に合わせた奨学金制度や、交通災害遺児のための奨学金、海外留学のための奨学金などもあります。

奨学金は基準や審査をクリアすれば、誰でも進学に必要な金銭的サポートを受けられるようになっています。

大変ありがたい奨学金制度ですが、奨学金には卒業後に返さなくていい「給付型」奨学金と、返さないといけない「貸与型」奨学金があります。

後々の負担を考えるとまずは「給付型」奨学金から探される方が良いです。

「貸与型」奨学金でもゼロ金利のものもありますので、できるだけ後々の負担にならないよう、しっかりと検討してみてください。

学校や皆さんのご家庭の状況により様々ありますので、ここではどこへ相談に行けばよいのかをご紹介します。

相談先:

各大学の学生支援課など 大学独自の奨学金や大学に関係する民間団体の奨学金など
日本学生支援機構 https://www.jasso.go.jp/index.html
国や地方自治体の奨学金について

「国の教育ローン」(教育一般貸付(直接扱))

日本政策金融公庫が取り扱う「国の教育ローン」は、「家庭の経済的負担の軽減」、「教育の機会均等」という目的のために昭和 54 年に制度が創設されて以来、40 年以上の取り扱い実績があり、昨年度の利用件数は約 12 万件に上ります。

融資限度額 お子さま 1 人につき 350 万円以内
ご返済期間 15 年以内
金利 (令和 2 年 10月 30 日現在)年 1.70% 固定金利
使いみち 学校納付金(入学金、授業料、施設設備費など)、受験にかかった費用(受験料、交通費など)、住居にかかる費用(敷金・家賃など)、教科書代、パソコン代、通学費用、学生の国民年金保険料など
対象となる方 融資対象となる学校に入学・在学される方の保護者で、世帯年収(所得)が次に該当する方

 もそも大学に行くのは本当に良いことか

ここまで大学進学ありきで見てきましたが、これだけの費用をかけて大学に行くことが本当に有意義なのでしょうか?

経済面

経済的なことから言ってしまうと、あまり割に合わないというのが実情です。

今、大学費用は高騰の一途をたどっています。

高すぎます。

上述の通り、入学から卒業まで大学4年間の費用は平均で約800万円近くかかります。

この4年間を就職当てれば月収15万円の手取りだとしても4年間で720万円の所得になります。

この差、なんと1520万円です。

大学卒業から65歳まで約40年間働いたとして、1520万円を40年で割ると月々31,600円。

単純な計算ですが、高卒と大卒で実際にこれだけの給与の差があるでしょうか?

私たち50代の世代ならいざ知らず、今の時代よほど良い大学、又は良い成績を大学で納めないと中堅や大企業には入れません。

就職率は今や高卒の方が良く、大学を卒業しても高卒の方と一緒に働く人はたくさんいます。

精神面

「いやいや、お金だけの問題じゃない」といわれる方も多いでしょう。

その通り、大学は就職の為だけに行くのではありません

本来、勉学に励み、友人との交流を深めあう時間だと思います。

しかし、実際に勉強したくて大学に行く子はどれだけいるでしょう。

あなたのお子さんは「勉強をもっとしたいから大学に行かせてくれ」と熱望されましたか。

クラブ活動で一生懸命になる、多くの友人を作って人生を豊かにする、など素晴らしいことだと思います。

しかし実際にはバイトや課題、今どきはゼミでボランティア活動などもありバタバタしている間に4年間が終わったという学生も多いです。

せっかく大学に行くなら、目的意識をしっかりと持って充実した4年間を過ごしてもらえるよう家庭内で事前に充実分に話し合うことが必要だと思います。

社会に出て

いま50代にして回りを見れば、失礼な話ですが、大学を卒業している人より高卒の人の方が元気に人生を楽しんでいる人が比較的多いように思います。

これはあくまで私見で、私も高卒だからそう見えるのかもしれません。

ただ、高卒で早くから社会を知った人は、”稼ぐ”ということと、”稼いだ金で楽しむ”ということを早くに学んでそれらを充実させているように思えます。

回りの自営業者を見れば半分以上が高卒で、しかもサラリーマンより楽しんでいます。

 

高卒が良くて、大卒がダメと言っているのではありません。

多様な選択肢があっても良いのではないかと思います。

大学に行ったから良い会社に入れ、良い人生が送れるわけでもなく、もちろん高卒だったら良いということでもありません。

社会に出てしまえば同じ土俵の上に立たされ、後は自分次第となります。

その”自分”を大学で育てられるならそれでいいし、高卒で就職してできるのであればそれでも良いのではないかということです。

親がしてやれること

もちろん教育費などの支出を一手に親が面倒見れれば良いのですが、その場合でもどれだけの費用がかかっているのかはしっかりとお子さんと話しておくべきです。

ご自身が子供のころを思い出すと「親の心、子知らず」であったと思います。

親子だからこそ、親の思いや苦労を話し合う機会を持つべきです。

決して綺麗ごとではなく、世間・社会を見せてやり巣立っていくように持っていくのが親の務めだと思います。

学生を卒業し、就職すれば必然的に世間の荒波を知ることになります。

急に放り出すのではなく、学生のうちから社会を学ばせる機会を多く持つことがお子さんの将来につながります。

 

大学へ行くだけが進むべき道ではありません。

「良い大学=良い会社へ就職」という時代はもうとっくに終わっています

私たちの世代が就職先を探す時と今とでは職種の内容も幅も全く違ってきています。

今はスマホアプリ制作や、ゲーム制作など私たち親の世代が計り知れない業種が成長企業して存在しています。

ここ数年でもっと変わって行くとことでしょう。

私たち親が古い頭で勝手に思い描く「良い就職先」を押し付けるのは良くありません

子供にいろいろな経験をさせてやり可能性を広げ、個性を活かした好きなことをさせるべきです。

今や社会人になってからでも大学に行ける社会になっています。

勉強する気さえあればいつからでもできます。

私の近しい人も50歳前後から仕事をしながら大学院へ行き、無事卒業されました。

 

私たちは右肩上がりの経済成長の中で育ちました。

「お金があるから良い人生」というのが何となくしみついています。

しかし今は、そうではなく、「したいことができるのが良い人生」という価値観に変わっています。

したいことをして、それで食べていけるなら、経済優先より幸せなことです。

ただ、その「自分が本当にしたいこと」が見つからずに悩み立ち止まる人が増えています。

したいことを探し、突き詰めることができる子供に育つよう、社会でたくましく自立できるように仕向けてやるのが親の務めだと思います。

 

 

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