50代にもなると、今までの人生で親、友人、会社、奥さんなどからいろいろな保険の提案をされ加入されていると思います。
人生において、保険は切り離せません。
子供の頃は親に学資保険やこども総合保険などを親が入ってくれていたことでしょう。
大学生などでは大学生協で学生総合保険や共済に加入されていたと思います。
この辺りまでは自分でも知らない間に入られていたのではないでしょうか?
バイクや自動車を購入されると、自賠責保険や任意保険に加入されたことでしょう。
社会人になれば生命保険をすすめられ入られている方も多いと思います。
結婚し、子供ができると社会人としての責任も大きくなり、より大きな保険に変更したり、自営業をされていると所得補償保険などにも入られているかもしれません。
こうして年齢を重ねるごとに保険は増えるばかりのように思います。
これらの保険が本当に自分や家族にとって必要なのでしょうか?
今すぐに返答できる人はほぼいないと思います。
それどころか、死亡保険、傷害保険、医療保険など、それぞれどれだけの補償内容の保険に入っているのか具体的に言える人は少ないです。
もしかしたら、必要無いものや、2つ3つ被って多く入っているものなどもあるかもしれません。
その上、50代になれば、子供も巣立ち、今後必要になる補償も少なくて済む頃です。
必要無いものなら、保険料を抑え、今の人生をより豊かになるように、又は将来の為に利用した方が良いですよね。
まずはどんな保険があり、どんな保険が必要なのかを見たうえで、見直しのポイントを見ていきたいと思います。
そもそも保険とは
保険というのは、そもそも「自分の力ではどうしようもない経済的な問題が起きた時に対処するため」に考えられた仕組みです。
「滅多に起きるものではないが、起きてしまえば自分の蓄えだけではどうしようもないことになる」場合を想定して入ります。
「万一のリスクの為に、加入者がそれぞれ少しづつのお金を出し合い、貯めておき、万一の事態になった加入者へ寄付する」 これが保険の考え方です。
なので、万一のことが無い場合には掛けたお金は戻ってこないのが常です。
貯蓄性のある保険もありますが、本来の保険の意味からは逸脱しています。
貯蓄性の保険では貯蓄の意味がなく、もったいないです。
基本的には保険会社が儲かるだけです。
一部、よっぽどのお金が余っている場合は貯蓄性保険により節税になる場合があります。
基本的に貯蓄したいのであれば、銀行で貯蓄や株式投資をするべきで、その方が自由度が高いです。
保険の種類
保険をあっせんするわけではないので、ここでは各内容だけ知ってもらえればと思います。
まず、大きく分けて損害保険と生命保険とがあります。
○○損害保険会社や○○生命保険会社など用途により保険会社が違います。
損害保険
損害保険は、偶発的なリスクによって生じた損害を補うための保険です。
その性質のため、一定額の保険金が支払われる生命保険とは違い、損害の額により保険金の支払い額が変わる「実損払方式」が中心となっています。
自賠責保険
自動車損害賠償保障法に基づき原則すべての自動車・原動機付自転車の保有者に加入が義務付けられている保険です。
人身事故に限られており、相手側にのみ支払われる最低限の補償となります。
自動車保険
自動車事故の際、搭乗者、相手側、車などに生じる損害に備える保険です。
自賠責保険ではまかなえない部分をこの任意保険で補います。
自分お車の修理などに使う「車両保険」もこの中に含まれます。
火災保険
火災保険は、住宅火災、落雷、ガス爆発など基本的な部分を補償した「住宅火災保険」と、火災以外にも住宅を取り巻く水災、自動車の飛び込みなどによる破損や暴行・破壊、家財の盗難などさまざまなリスクを総合的に補償する「住宅総合保険」があります。
地震保険
昔は火災保険に付属で地震保険を付けられたように思いますが、今は別になっています。
地震や噴火、津波によって、建物や家財に損害が及んだ場合に補償されます。
地震大国としては必要な保険ですね。
傷害保険
日常の怪我などにより、死亡したときや、入院・通院したときに保険金が支払われる普通傷害保険、自転車に乗っている際に、相手側に損害を与えた場合に保険金が支払われる自転車総合保険、国内旅行中に利用する国内旅行傷害保険、海外旅行中に利用する海外旅行傷害保険、など怪我だけでなく、賠償責任もカバーする保険もあります。
医療・介護保険
医療保険:病気やケガで入院したときに保険金が支払われます。
公的医療保険ではまかなえない自己負担部分や、高度先進医療を受けたときの技術料や差額ベッド料、親族などの付き添い費用などを補完することができます。
介護保険:介護が必要な状態になったときに保険金が支払われます。
国の制度である公的介護保険ではまかないきれない自己負担部分などを補完することができます。
個人賠償責任保険
他人のモノを壊したり、他人にケガをさせてしまったときなど法律上の損害賠償責任を負う場合に支払われる保険です。
上記であるような、自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約としてセットで契約されていることが多いです。
生命保険
生命保険は基本的に死亡した際に残った家族に迷惑をかけないために加入します。
医療保険や疾病、介護保険も含まれていますが、同じような趣旨です。
また、別に貯蓄性の高い保険もあります。
死亡保険
保険の対象者(被保険者)が死亡時、または高度障害状態になった場合に保険金が支払われます。
あくまで万が一の不幸な事態が起こったときに備えるものです。
医療保険・疾病保険
保険の対象者(被保険者)が特定の病気やケガをしたときに、保険金が支払われます。
がん保険などもこの中に含まれます。
介護保険
保険の対象者(被保険者)が介護が必要な状態になった時に保険金が支払われます。
死亡保障付き生存保険
保険期間中に亡くなっても、満了時点で生存していても、保険金を受け取れる商品です。
こちらは保険だけではなく、貯蓄性があります。
学資保険やこども保険、個人年金保険、養老保険などがあります。
共済とは
共済は「加入者が少しずつお金を出し合って、困ったことが起きた人にまとまったお金を支払う」という機能では生命保険と類似したものです。
共済は何かしらの協同組合に加入し、組合員として組合員相互に助け合うというという立場をとっています。
「こくみん共済」や「府民共済」「市民共済」などが有名です。
保険会社の保険と比べると、安価ですが、補償内容の上限が限られています。
保険の種類としては共済にも保険会社と同じようにバラエティのある保険が揃っています。
唯一、貯蓄性の保険は無かったように思います。
なぜ保険を見直す必要があるのか?
保険は定期的に見直すことをお勧めします。
特に50代に入ると家族の成長などに合わせ変えていく方がムダ無く必要なところに重点を置いた支出ができるようになります。
「万一の為」と思い、ついつい言われるがままに保険に入っていると、知らないうちに必要のないものまで加入している場合があります。
また、多くの方が保険に入る際にはいろいろと確認しますが、一度は行ってしまうと、あとは自動継続で続けています。
しかし、お子様の成長によっては、昔、掛けていたような多額の死亡保険が必要なくなったり、これからのことを考えるともっと医療保険を充実させるべきだったりします。
小さなところでは、個人賠償責任保険などは、各種保険の特約として付いていて、被ってかにゅしている場合も多いです。
私もそうでしたが、まず「見直そう」と思っても、”保険証券をどこに片付けたか?”から思い出す必要があったりする方もいるのでは?
保険証書は保険証書だけでファイリングし、いつでも見直せるようにしておきましょう。
「面倒くさい」とほおっておくと、年間数万円も損をしていることもあります。
是非この機会に保険を見直してみてください。
保険見直しのポイント6
保険見直しのポイントですが、最初から保険会社に頼るのではなく、まずは現在の保険証券を集めて家族で話し合ってみることから始めましょう。
保険会社に持って行き、「良いようにして!」と投げてしまうと、保険会社の都合の良いようになってしまかねません。
1.手持ちの保険証券を揃える
何度も繰り返しますが、まずは今ある保険証券を全て揃えて眺めてみましょう。
生命保険、自動車保険、火災保険などなど。
に加入されている場合も同様に揃えておきましょう。
その他、クレジットカードにも旅行傷害保険や生命保険が付保されたものもありますので、契約書を揃えてみて、見てみましょう。
クレジットカードに付随されている保険は、そのクレジットカードを利用して引き落としたものにしか使えない場合もあります。
条件等も良く読んで確認しておきましょう。
保険の内容は、エクセルなど表に被保険者ごとに書き出してみるとわかりやすいです。
その上で、「保険」のファイルにひとまとめにしておきます。
2.家族構成とこれからの不安要素を洗い出す
家族が増え、保険も増えたこと思います。
しかし、50代になると、その家族も子供たちは巣立ち、嫁と2人暮らしなどになっていきます。
そんな時、今後のことを考えると、子供が小さかった時のように「もし俺に何かあったら、子供たちの養育費をねん出できるように」と大きくしていた死亡保険などは、「嫁があと30年食っていければいいか」程度で十分ということになります。
奥さんの死亡保険などは、現在、奥さんの収入を頼りにされていないのであれば不要ということになります。
それよりも、医療保険や介護保険に重点を置くことをお勧めします。
医療保険や介護保険もそれぞれ国民健康保険や国の介護支援制度がありますので、それらを加味し、必要最小限のもので良いのではないでしょうか。
サラリーマンなら退職金も考えられますので、退職時に再度保険を見直すのが良いと思います。
年金
2020年現在、国民年金の65歳から受け取れる満額は年間78万円です。
厚生年金の平均受給額は14万5,865円/月(2018年度)です。
年金の計算は下記からできます。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/index.html
健康保険
病気やけがでお世話になる健康保険(社会保険)ですが、70歳までは3割負担です。
70歳を過ぎると、一般・低所得者は2割負担となり、75歳を過ぎると1割負担となります。
つまり医療費もだんだんとかからなくなります。
医療費の自己負担割合については下記をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-37.html
介護支援制度
65歳以上になると介護サービスを利用できるようになります。
介護保険サービスの利用を開始には、市町村に要介護認定を申請して要支援1~2、要介護1~5のいずれかの認定を受けることが必要になります。
認定が得れれば、各支援の必要度に合わせてですが、介護サービスのおおよそ8割~9割を市区町村が支援してくれることになり、自己負担額は1~2割となります。
特定疾病と診断されていると、40歳からこの制度を利用することができます。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/2gou_leaflet.pdf
3.家族それぞれに見合った保険を考えて現在の保険金額と必要な額とを見比べる
2.でこれから必要になるであろう費用などを加味し、必要な保険金額を見ていきます。
自動車の車両保険などは車の経過年数により、徐々に車の価値が下がることから、保険金額(万一の際に支払われる保険額)も下がり、それに合わせ保険料(支払額)も下がります。
人間も、50代を過ぎれば、徐々に先々のことで必要なお金も減っていきます。
それに合わせ、保険金額も考えて行くべきです。
仮に働き主であるあなたが今、死亡したとして(考えたくないですが)、奥さんの今後の生活費にいくら必要でしょうか?
子供たちの養育費はあといくら必要でしょうか?
年金なども考えると、ご自身に対する死亡保険金額は2~3千万円あれば足りるのではないでしょうか?
お子様がまだ中学生などでしたら、死亡保険金額は4~5千万円、などと考えてみても良いのではないでしょうか?
具体的な数字は家族で話し合って決めていきましょう。
「万一の時の取り分が少なくなる」と考えるより、保険金額を減額することで保険料を減らし、「今使えるお金を増やす」方がより豊かな生活が送れます。
4.共済で代用できないか比較してみる
いくらくらいの保険に入るべきか検討出来たら、今度はそれを共済でまかなえないか考えてみましょう。
基本的には保険会社の保険商品より、共済の方が安いです。
国民共済(全労災)、府民共済、市民共済、それぞれ少しづつ違いがありますので、資料を入手し、検討してみましょう。
5.ネット保険についても検討してみる
共済と同じように通常の保険より割安なのがネット保険です。
人件費や代理店費用を抑えることで、通常の保険と同じ商品でもかなり安くなります。
内容をしっかりと精査したうえで一度見積もりを取って見られてはいかがでしょう。
特に自動車保険などは手軽に見積もりでき、保険料も安くなります。
生命保険では下記が有名です。
メットライフ生命
アクサダイレクト生命保険
ライフネット生命
損害保険では下記が有名です。
三井ダイレクト損保
おとなの自動車保険
チューリッヒ
ソニー損保
6.見直した先に掛け金に対する保険内容が悪くなっていないか確認する
ここまでやっていくと、いろいろと見積もりをとり過ぎて、何が良いのかわからなくなってきそうになります。
もう少しだけ頑張りましょう。
今、掛けている保険と見積もりを出した保険について、内容を見比べてみましょう。
保険金額やそれに対する掛け金はもちろん、付帯や特約の条件なども見ていきます。
貯蓄性のある保険に入られている場合
生命保険について、積立式や、生存保険付きの貯蓄性のある保険に入られている場合は、乗り換えない方が良い場合が多いです。
というのも、昔から掛けていたものの方が利率が良いのです。
今の超低金利時代では、貯蓄性の保険に入ったとしても、高所得者の節税対策以外のメリットは感じられないでしょう。
途中解約をすると損をする仕組みのものが多い為、今掛けている貯蓄性の保険があれば、そのまま掛け続けた方が良いです。
番外編 保険会社と相談する
途中でどうしても挫折してしまった場合は最寄りの保険代理店へ行きましょう。
その際も、できる限り事前にしっかりと保険証書や家族構成、これから必要と思われる費用などを書き出してから挑みましょう。
「良く起きること」に保険は向かない
保険とはめったに怒らないことに対応するものであり、「高まるリスク」つまり頻繁に起こることに保険は向いていない。
保険料が高くなるだけです。